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なんとも不気味な骸骨像。ナイジェリアのジュクン人またはティブ人のもので、祖霊像(守護霊像)として、もしくは葬送儀礼に使われたものと思われます。
落ち窪んだ眼窩に歯を剥き出したしゃれこうべ。写実的に彫られたリアルな骨格。不気味な迫力が宿ったアフリカ美術の傑作です。
意外に聞こえるかもしれませんが、アフリカの彫刻には骸骨をモチーフにしたものは少なく、その点でも非常に珍しい作品といえます。
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ジュクン:ナイジェリア東部およびカメルーン北西部に住む民族。詳しい起源は不明であるがナイジェリア東部ベヌエ川流域に王国を築いた(14C頃には建国されていたと考えられている)。
ジュクン王国は16Cには一時ハウサ諸国のひとつザリアの支配下に入ったものの、16C末には逆にザリアを一時占領するほどの強国になっていた。その後ジュクン王国は19C初頭にソコト帝国によって滅ぼされるまで同地域に存続していた。
ジュクン王国には「王殺し」の習慣があった。これは国家を繁栄させるための神聖なエネルギーに溢れているべき王の体に衰えが出てきた場合には、臣下の手によって王が殺され新たにエネルギーに溢れた王が即位するという慣わしであった。 |
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