・膜鳴楽器 |
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ひょうたんドラム(片面)
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ひょうたんを胴にして作ったドラム。さまざまな大きさのものがある。西アフリカに多く見られ、とくに有名なものがブルキナファソでベンドレと呼ばれるひょうたんドラムである。音楽の演奏にはもちろんのこと、太鼓言葉(ドラムランゲージ・トーキングドラム)を奏でる楽器としても使われている(モシ王国宮廷の儀式にも用いられる)。
ドラムランゲージとは太鼓(ドラム)のリズムや音色によって言語的メッセージを伝達する方法であり、単なる音による信号、合図ではなく、下敷きとなる言語メッセージを持つものを太鼓言葉と呼ぶ。サハラ以南のアフリカのいくつかの社会(ブルキナファソのモシ社会など)で発達し、かなり複雑な内容を太鼓の音によって伝えることができる。太鼓言葉に使われる太鼓を指してトーキングドラムと呼ぶこともある。
数千はあるともいわれるアフリカの言語のうち、かなりの言語が文法的声調言語(声調によって単語の意味が変わるだけでなく、文法的要素も変化する言語:声調の高低によって動詞の時勢が変化するなど)であり、言語自体にたぶんに音楽的要素が含まれているために太鼓の音のリズムや高低によって言語メッセージを伝達する太鼓言葉の発達が可能になったと考えられている。
マダガスカルにもこの種の片面のひょうたん太鼓がある。
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ひょうたんドラム(両面) |
ひょうたんの両面を切り落とし膜を張ったもの。回転擦り太鼓(電電太鼓上のものか?)や膜に棒を差し込んでこする擦り太鼓が南部アフリカに存在する。
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・気鳴楽器 |
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←写真:エチオピアはショア地方のひょうたんホルン
細長いひょうたんで作ったホルン上の楽器がカメルーンからチャドにかけての地域で用いられている。カメルーンではひょうたんを数個連ねたものもあるとか。
その他リード付きのひょうたん製笛が西アフリカやマダガスカルで用いられている。
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・弦鳴楽器 |
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ひょうたんハープ
(コラ)
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コラとはサヘル諸国の広い地域で使用されている西アフリカを代表する撥弦楽器。皮を張った半切りのひょうたんを共鳴器にして、棹と弦を取り付けた楽器。大きいものはひょうたんの直径が40p以上にもなり、一般的には21本の弦を張る。西アフリカでグリオ(Griot)と総称される吟遊詩人=語り部が好んで用いることでも知られている。その哀調を帯びた澄んだ音色は世界各地でファンを獲得し、現在欧米で活躍し日本でもその名を知られているコラ奏者も少なくない。
またアフリカ最大のポピュラー音楽賞はこの楽器の名前を冠してコラ音楽賞と呼ばれ,受賞者にはコラをかたどったトロフィーが贈られる。
今日でも西アフリカ各地で祝い事などの折にはコラを演奏するグリオを見ることが出来る。また時にはコラを抱えレストランや家々をまわって歌を歌っていく「流し」のグリオの姿を目にすることもできる。 |
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弓琴 |
弦を張った弓をかき鳴らす楽器。弓にひょうたんを取り付けて共鳴器とする。カポエラの伴奏などに用いられることで有名なブラジルのビリンバウもアフリカから伝わった弓琴が原型と考えられる。 |
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←写真(上)はブルキナファソのルドゥガ(ひょうたんバイオリン)
そのほかにもひょうたんを共鳴器に用いた、ひょうたんギターまたはひょうたんリュート、ひょうたんバイオリン、ひょうたんリラとでも呼ぶべき撥弦、擦弦様々な楽器がアフリカ各地で用いられている。リラ系の楽器は東アフリカに(ケニア、エチオピアなど)に、ハープ系のものは中部アフリカ以西に分布する傾向が強い。
←写真(下)はブルキナファソのひょうたんギター |
・体鳴楽器 |
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ひょうたんマラカス
(ヤバラ/シェケレ/アソゴ)
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西アフリカの広い地域で使用されているマラカス状の伝統楽器。ひょうたんに網をかぶせ、その網に硬くて小さなものを取り付け、ひょうたんにぶつけて音を出しす。網に取り付けるものはビーズ、貝殻、木の実など地域や好みの音質によっていろいろな材料を使うようである。
ひょうたんの中身(果肉部)を取り除く場合と、そのまま使う場合がある。マンデ系言語ではヤバラ(ジャバラ)、シェケレ、ベナンではアソゴ(フォン語?)と呼ばれる。 |
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ガラガラ
(ワムデ/ワムリギディ)
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西アフリカで広く見られる、半切りにした丸型ひょうたんに子安貝(ビーズのこともある)を取り付けたリズム楽器。ブルキナファソではワムデまたはワムリギディ(モシの言葉でひょうたんの意味。この楽器は正確にはワム・リギディ〜貝の付いたひょうたん〜と呼ばれる)と呼ばれゆすると貝殻がひょうたんにあたりガラガラ・ジャラジャラという音をたてる。
音楽の伴奏や儀式の際に用いる楽器。無地のひょうたんを使うことも多いが、ひょうたんにさまざまな装飾を施すこともまた多い。
ガラガラ状の楽器としては他にL字型の棒の短辺に円盤状に加工したひょうたん片を数枚連ねたものがある。L字棒の長辺を握って振るとひょうたん片がガラガラシャカシャカ音をたてる。 |
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ラメラフォーン
(カリンバ/ムビラ)
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ラメラフォーンとは木箱やひょうたんで作った共鳴器の上に細長い金属片(鍵盤)を取り付け、金属片をはじいて音を出す楽器。昔は竹などで鍵盤を作ったが今日では金属性がほとんど。その鍵盤をはじくのに主に親指を用いるため日本語では親指ピアノと総称されている。サハラ以南アフリカにしか見られないアフリカ独特の楽器である。
西アフリカのみならずアフリカ各地で広く見られる楽器であり、様々な名称で呼ばれるが西アフリカではおおむねカリンバ、南部アフリカではムビラと総称されることが多い。大きいもの、小さいもの、共鳴器にひょうたんではなく木の箱を使ったもの等さまざまな形態がある。 |
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シロフォン
(バラフォン)
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バラフォンは西アフリカの広い地域で使用されている伝統楽器(木琴)。西アフリカを代表する鍵盤楽器でありさまざまな現地名を持つが一般にバラフォン(西アフリカの言語の「バラ」という単語とヨーロッパ系言語で音を表す「フォン」の合成語)とよばれている。
地域によって形態に多少の差異は認められるものの、木製の鍵盤の下に大きさの異なる複数のひょうたんを取り付け共鳴器とするという基本的な構造は共通している。大きいものでは20鍵以上、長さ1.5m以上に達し、民間音楽、宮廷音楽を問わず幅広く演奏されてきた。ひょうたん共鳴器によって柔らかに増幅されたその美しい音色に、世界中に多くの愛好者がいて、また近年では多数のバラフォン奏者が欧米で活躍している。
演奏者が手首に金属片や木片などを付けたブレスレット状のものを着けることがあり、その場合鍵盤をたたくたびに金属片や木片がカシャカシャと音を立て演奏に独特のリズムを加えることになる。
ブルキナファソにはバラフォンの音階やリズムで言葉を伝える、「木琴言葉」があるらしい(西アフリカ各地には太鼓のリズムなどで言葉を伝える「太鼓言葉」も存在する)。
東・南部アフリカにも同様の楽器があり、奴隷貿易とともにアメリカ大陸に渡りマリンバの原型となったと考えられている(マリンバという名前はモザンビークの言語に起源があるとの説あり)。
共鳴器(ひょうたん)の横面に小さな穴をあけそこに膜状のくもの巣を貼りビブラート効果を得ることが行われていた。現在では代替素材も用いられている。 |
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ウォータードラム |
大小さまざまな大きさのひょうたんボウル(丸型ひょうたんを半切りにしたひょうたん容器)を伏せて水に浮かべて叩いて音を出す。ひょうたんの大きさによって音程が変わる事を利用して演奏する。
そのほか単純にひょうたんを何かに打ち付けるまたはひょうたん同士を打ちつけてリズムを奏でる体鳴楽器ももちいられている。 |