*写真:南アフリカのワイヤー編みのかご |
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*特に断りがない限りこのページ内の「アフリカ」とはサハラ以南アフリカをさします
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〜バスケタリーとは?〜
Basketry(英):1・かご細工法 2・(集合的に)かご細工品 (研究社刊 新英和中辞典より)
日本語ではバスケタリーと表記されるが原音に従うならバスケトリー。本項および当店ホームページにおいては、一般にかごとして認識されているものの他にも、かご編みの技法を用いて作られた多種多様な工芸品・人工物を含む言葉として、「バスケタリー」の語を使用する。
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〜アフリカのバスケタリー〜
人類史のごく初期から作られ続けてきた道具「かご」。かごを含むバスケタリーははるかな昔から世界中の民族によって作られ、使われてきた。アフリカでも古くからさまざまな材料を用いて多様なバスケタリーを作ってきた。
アフリカのバスケタリーは、材料としては、ヤシの葉、麻、アシ、樹皮、つる、竹、イネ科植物、糸、毛、皮革から現代ではワイヤー、ビニール皮膜の電気コード、プラスチック、ビニールひもまで、技法としてはもじり編み、コイル巻き編み、平編み、網代編み、斜文編みなど多岐に渡り、その製品の形状、用途もまた多彩である。その中からアフリカで用いられている代表的な技法・用途をいくつか取り上げてみたい。
*写真:アシを束ねて作った小舟(エチオピアのタナ湖)。これも広い意味でのかご細工・バスケタリーの一種といえよう。
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・技法 |
・コイル巻き編み |
材料の繊維を何本も束ねたもの(芯材)の外側をコイル状にぐるぐる巻きにしながら、とぐろ状に編み上げていくバスケタリー技法。芯材をかがる(巻く)材料の色を変えたりすることで美しい模様を描くことが出来る。
ひろくアフリカ全土でかご編みに用いられている技法であり、西アフリカでは主に丸型のかご、円形マット(容器のぶた)を作るのに用いられるがトーゴ南部ではひょうたん容器の縁の補強にも使われる。またルワンダではこの技法によるかご編みの伝統をいかしたアクセサリーも作っている。
南部アフリカには液体容器として、きつく巻き締めて編んだコイル巻き編みのかごがつくられている。緻密に編んだかごの繊維が水分を吸って膨らみ、隙間がふさがるため液体を入れても漏れることはない。
アフリカのみならず世界中の多くの地域で広く用いられている技法でもある。
例:)
など
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・もじり編み |
経芯(たてしん)に対して二本一組の緯芯(よこしん)をもじる(ねじる)ように交互に巻きつけていく編み方。このため経芯は緯芯に隠れて見えなくなる。編み目が密になるため非常に頑丈で柔軟なバスケタリーができる。立体感のある編み目が特徴的。緯芯の色を変えたり、もじりの目を飛ばしたりすることで様々な模様を描くことが出来る。
世界中で用いられている技法であり、西アフリカでは革で縁取りしたフルベの帽子、そしてなんどいってもガーナ北部ボルガタンガ地方でつくられるカラフルなもじり編みのかご、うちわなどが有名である。
例:)
など
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・組み編み |
同じ種類の材を交差させて組んでいくかごの編み方。織り編みやもじり編みと違い経芯(たてしん)・緯芯(よこしん)の区別はなく、基本的には同じ材料、同じ太さの材を用いる。竹の割材(へぎ)、アシ、ヤシの葉などの平たい材で作られることが多い。
平組み、綾組み、斜文組み、六つ目組みなど様々な汲み方がある。平組みはかご編みの中で一番単純な技法のひとつであり、同じ種類の材を交差させて、それを交互に(縦横一対一で)編んで(組んで)いくものである。
組編みの技法は西アフリカでは容器としてのかごの他、サヘルタイプ(手旗型)のうちわやひょうたん吊りを編むのにも用いられる。
例:)
など
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・織り編み |
堅め材を用いた経芯(たてしん)に柔軟な材を用いた緯芯(よこしん)を織物のように組み合わせていくかご編みの技法。芯をかご材から糸に変えれば織物となるため、この種のかご編みが布作りの原点となったのではないかと考えられている。
ごく単純に経芯と緯芯を交互に組み合わせていく素織りや、経芯を何本か飛ばして模様を作る各種の綾織り組み(杉紋、斜文、山形紋など)の技法がある。
例:)
など
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・その他 |
他にもざまざまな技法を用いたバスケタリー/かご細工や複数の技法を組み合わせたものが作られている。下の左二点は固い材を並べたものを経緯(たてよこ)に重ねテープ状の材(この場合は合成樹脂テープ)でかがったものである。恥ずかしながら何という技法なのかは存じません。
例:)
など |
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・用途 |
・容器 |
いわゆるかご。主に保存・収納・運搬に用いられる。形状、大きさも人一人軽く入るくらいの巨大なものから赤ん坊の掌に乗るくらいのものまで様々であり、中に何をいれるかもまた様々である。水汲み用のかごなどという代物もあり、びっしりと緻密に編んであるかごの繊維が水を吸って膨らむため水漏れしないという(南部アフリカのズールーなど)。柔軟な材料を用いて、かごというよりも袋に近いものを作ることもある。
またかごは女性と結びつけて考えられることが多く(実際に作るのも女性の仕事であることが多い)、結婚の際の贈り物や、嫁入り道具として特別なかごが使われる社会も多数ある(ブルキナファソのボボ人の嫁入り道具である、円錐形のふたのついた入れ子式のかごなど)。
もち手をつけたかごバック状のものも盛んに作られている。
例:)
など
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・マット類 |
柔らかい材料で編まれたマットは敷物として用いられることが多い(ござのイメージ)。堅く頑丈な材料で編まれたマット状のバスケタリーは垣根や家の壁・屋根などとして用いられる。サハラの遊牧民トゥアレグは皮ひもを経芯(たてしん)に使ったマットを作る。
当店ではなべ式として販売することが多いコイル巻き編み技法で同心円状に編み上げた円盤状のマットは、本来はアフリカ各地で主に容器のふたとして用いられている。
例:)
など
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・うちわ |
うちわは古くから世界各地で製作、利用されてきた道具であり、その材質、形状は多岐にわたる。西アフリカでもたくさんの種類のうちわがつくられているが伝統的なものでは布や紙のうちわはなく、ヤシの葉などの植物性の材料を使い、かご編み(バスケタリー)の技法で作られている
かつての日本でもそうだった様にうちわは涼をとる道具としてだけでなく、炊事用具としても用いられてきた。現在でもアフリカでは炊事に薪や炭を使うことが多く、その際、火を煽る道具としてうちわは生活に欠かせないものとなっている。
例:)
スーダン(サヘル)タイプのうちわ
ギニアタイプのうちわ
その他のタイプのうちわ
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・その他 |
帽子ボルガのもじり編帽子や(西アフリカの牧畜民フルベの革で縁取りしたとんがり帽子が有名)・履物・ひょうたん吊りなどの日用品から、漁撈用の罠、堅い材料を堅固に編み上げて作った盾、革紐を編んで柄を装飾したトゥブのナイフ、食卓(エチオピア)、果てはツルを編んで作る吊り橋やアシを束ねて作る船(チャド湖、エチオピアのタナ湖など)まで、実に多種多様なものがバスケタリーとして作られている。
西アフリカのトーゴやエチオピアではふた付きひょうたん容器のふちをコイル巻きのかご材で補強することもある。エチオピアでは更にひょうたんの半分から全体を針金や皮ひも、かご材などを編んで覆って補強することもある。
現代ではかご編みの技術をアクセサリーの製作にいかすこともある(ルワンダのサイザル麻ピアス、マリ西部など)。
また、バスケタリーの変り種としてはかご編みの仮面(エチオピア)と言うものもある。
例:)
など
*写真:コンゴ川(ザイール川)での漁に使われる巨大な簗(やな) |
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*写真:エチオピア北部の古都アクスムのかご市
写真右下から中央にかけて並んでいるものは埃よけのふた付きの食卓(すべてかご細工)
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鮮やかな彩色を施した材料を使い、複雑な文様を織り込んだ美しいバスケタリー、素材の特徴を生かした素朴な味わいのバスケタリーの数々は、アフリカの人々の日用品としてだけでなく土産品としても人気を博していて、ルワンダのように、女性(アフリカではかごの編み手は主に女性)の収入源としてのかご編みを国を挙げて奨励しているところもある。
アフリカのバスケタリーとしてよく知られたものには、ガーナ北部ボルガタンガ地方のもじり編みのかご・うちわ、とんがり屋根型のふたのついたかご(アガセチェ)に代表されるルワンダのバスケタリー(ひらかごなどは欧米の百貨店でも販売されていたりする)どがよく知られている)、南部アフリカ諸民族のコイル巻き編みのかごなどがあげられる。
現在安価なプラスチック製品がアフリカにも大量に出回り、伝統的な手編みのかご・バスケタリーは押され気味ではあるが、市場などでかごを編みながら売っているおばちゃんたちを目にする機会もまだ多く、日常の生活必需品としてアフリカの人々に愛用され続けているし、国によっては田舎のほうでは「かごも編めないようでは一人前の女性とはいえない」なんてところもある。
またビニールやワイヤー、ビニール皮膜加工の電線などを材料にして、新しいバスケタリーを作り出したりもしている。新しい素材を伝統的な技法に貪欲に取り入れ変化・進化し続けるアフリカのバスケタリーは、アフリカの工芸文化の逞しい生命力を象徴しているかのようだ。
*写真:エチオピア東部の商都ハラルのかご
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